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地盤調査の費用 〜 地盤改良・地盤補強の主な工法(摩擦杭と支持杭)

東日本大震災を目の当たりにし、自分が住んでいる場所や、新たに買おうと思っている土地の地盤は大丈夫なのか?と不安を感じた人は多いことでしょう。
地盤の強度を調査し、軟弱な地盤に手を加えて補強することを地盤改良・地盤補強工事といいます。


住宅建設などを目的として土地を購入する場合、その地盤が強いかどうかは土地を購入した後、購入者が行うのが一般的です。
地盤改良の費用は、地盤調査をしてみなければわかりませんが、大手のハウスメーカーは「大体100万はみておくように」とアドバイスをしています。


地盤調査・地盤改良の方法は複数あり、地盤調査の多くは地番改良工事会社やその関連会社が行っていますが、最近では地盤調査から建築物の保障までカバーする保障機構も登場しています。
地盤改良工事の見積額は工事会社やハウスメーカーによって差があるので、複数の会社に依頼して比較してみることをおすすめします。


地盤調査は、一般住宅の場合はコストが抑えられる(4〜5万円程度)SS(スウェーデンサウンディング)方式という、建物4隅と中心に鉄の棒を埋めて回転させる方法で行われるのが一般的ですが、建物の規模が大きい場合や、念入りに調査を行いたい場合には地盤のサンプルを採取する「ボーリング調査」が行われます。


地盤改良の代表的な方法は、地盤に杭を埋め込み、その上に基礎を作る方法です。
杭にはコンクリートの太い柱を埋め込み、その摩擦力を使って基礎を支える「摩擦杭」と、支持層と呼ばれる地中の固い層に直接突き刺す「支持杭」の2種類があります。
普通はコストのかからない摩擦杭が使われますが、コンクリートが固まりにくい土地の場合は支持杭が使われます。

地盤改良工事の種類と方法 〜 一般住宅用 地盤改良工法

一般住宅の地盤改良の工法には以下のようなものがあります。


■表層改良工法

 地盤調査の結果、軟弱地盤の深度が2mまでの場合に行う工法で、自沈層(100kgの錘でロッドが自然と沈んでいく軟弱な地盤)を掘り起こして基盤となる地盤の上に固化材(セメントと土を混ぜたもの)を敷き詰めて強化する方法です。
費用は1坪あたり2-3万円が目安となります。
地面を一度掘り起こすための掘削用重機が入れないような狭い土地の場合には、手作業で行うことになるため作業費がアップします。
作業の日数は20坪程度の土地の場合、2日が目安です。


■柱状改良工法

 軟弱地盤の深度が2mから8mまでの場合に行う工法で、コンクリートの杭を地中に打ち込む方法です。
費用の目安は1坪あたり4-5万円が目安で、2-3日手以後掛けて杭を地中に打ち込んでいきます。


■鋼管杭工法

 軟弱地盤が深度2m以上で、大型重機が入れないような狭い土地の場合や、自沈層が広範囲の場合に行う工法です。
鋼管を継ぎ足すことができるため、深さ30m程度まで地盤補強を行うことができます。


この他、段つきの鋼管を用いた「タイガーパイル工法」、鋼管の先に鋳物を取り付けたものを用いた環境にやさしく振動も少ない「ダブルメタル工法」、固定した地盤の上にベタ基礎を構築し、より強い地盤を作る「MS工法(安定材付きベタ基礎工法)」など、新しい工法も次々に開発されています。
工事にかかる期間の目安はいずれも1−2日です。

液状化現象対策 〜 地盤改良・地盤補強の費用とリスク

液状化現象の対策としては、地盤を補強し、液状化抵抗を強くする方法と、基礎構造物を強化する方法が考えられます。
それぞれ工事方法やコストはさまざまなので、リスクや予算を考えながら検討してみてはいかがでしょう。

  • 動的締固め工法
地盤がゆるい砂状で液状化現象が発生する場合は、砂の粒子同士を押し付けている力をいったんゆるめて摩擦をなくし、再び固める「動的固締め工法」が用いられます。
しかし、バイブロハンマーによる振動や騒音が激しいという問題もあります。

  • 深層混合処理工法
ゆるい地盤にセメントなどの固化剤を混入する方法です。
振動や騒音は動的固締め工法に比べて気にならず、かなり強度の高い地盤を作ることができますが費用がその分かかります。

  • 静的圧入締固め
流動性の低いセメントモルタルを圧入することで周囲の砂を圧縮する方法で、空港の滑走路下にも用いられています。
深さが足りなければ隆起などの問題がありますが、振動・騒音など気にならず有効的な方法です。

  • 薬液浸透注入工法
地震が起こったときの地盤沈下やせん断変形を抑圧する薬液を地面に注入する方法で、ゆるかった地盤が震度5の地震にも耐えられたという実例があります。

  • 不飽和化工法
地下水の水位を下げたり、空気を注入することで砂の飽和度を下げる方法です。
液状化には効果がありますが、地盤沈下対策とはなりにくいのが問題です。



液状化対策のための地盤改良は、建物が建った後では難しく、建物が建つ前でも一般家庭の面積で1000万円程度という莫大な費用がかかります。
液状化対策のひとつとして、地震保険に加入したり、自治体ごとに公表されている液状化ハザードマップを参考にして液状化しやすい土地を避けて住むのもひとつの方法だといえるでしょう。

不同沈下とは?〜 不等沈下の判断・補修・修正対策

不同沈下とは、地盤が不均一に沈下することです。「不等沈下」といわれることもあります。
傾いていることで有名な「ピサの斜塔」も、不同沈下によるものです。

不同沈下が起これば、道路や地面に凹凸ができたり亀裂が生じたりし、交通事故の原因となります。
特に空港の滑走路などでは重大な事故につながる可能性も考えられるため、地盤改良工事が必要となります。
建物がある地盤に不同沈下が起こると、建物が傾いて住人に被害が及ぶだけではなく地盤の修復・補強、建物の修復、仮住まい探しなど莫大な労力と費用がかかります。

不同沈下が起こる原因には、地震のほかに地盤の支持力不足、近辺の掘削工事、建物の荷重の偏り、液状化などが考えられます。
丘陵地や山地では、未改良地盤により自然に圧密が生じて不同沈下が起こりやすくなっています。

不同沈下が起こっているかどうかを判断するためには、以下の現象が発生していないか注意する必要があります。


  •  基礎・犬走り部分・外壁の亀裂
基礎部分や犬走り部分・外壁の化粧モルタルがはがれかけていたり、亀裂が入っている場合、不同沈下が起こっている可能性があります。

  •  タイルの亀裂
 玄関ポーチなどタイルを敷いてある部分のつなぎ目や、タイル自体に亀裂が入っている場合も要注意です。

  •  配管の亀裂
配管に亀裂が入り、排水に不具合が生じることもあります。

  •  サッシの隙間
 サッシが完全に閉まらず、隙間ができている場合、不同沈下によって建物が傾いていることが考えられます。

  •  冷暖房の効き目が悪い
 不同沈下によって建物が傾くと隙間が発生し、冷暖房の効き目が悪くなります。



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